原田 裕規 Yuki Harada

Waiting for
2021, Single Channel Color Video with Sound
33 Hours 19 Minutes 26 Seconds
Narration, Edit & Direction: Yuki Harada
CGI Design & Animation: Sun Junjie
Reserch & Sound Edit: Akane Tanaka
Corporation: Katsura Muramatsu, Kanta Nishio


Waiting for
2021年、シングル・チャンネル・ヴィデオ(カラー、サウンド)
33時間19分26秒
朗読・編集・監督:原田裕規
CGIデザイン・アニメーション:孫君杰
リサーチ・音響編集:田中茜
協力:村松桂、西尾完太

本作は、ゲーム製作などに使用されるCGI(Computer-generated imagery)の技術を用いてつくられた、CGアニメーション/ナレーション・パフォーマンス作品である。
100万年前、あるいは100万年後の地球をイメージして生成された3つの空間は、オープンワールドゲームのようにどこまでも広がり、その中を仮想のカメラがあてどなく彷徨っている。
そこに響きわたるのは、作家自身が33時間19分にわたって朗読し続けた、地球上に現存する全ての動物の名前である。人から見た特徴や地名などによって構成される動物の俗名は、それ自体が人と自然の関係性を伝える「箱舟」のような存在だ。
ここではないどこか(=彼岸)を思わせる世界に没入しながら、この地球(=此岸)に存在する生き物の名前をいつまでも呼び続けるという行為は、あの世とこの世の間にある新たな「風景」を立ち上がらせている。




現代の「風景」はどんなものだろうかとずっと考えていた。伝統的な風景画は、高所から見下ろした構図で描かれることが多い。しかし今となっては、単に高所に視点を設定しただけでは、「現代」という時代を俯瞰することはできないだろう。

それでは、その視点はどこに設定されるべきだろうか。そのために試みたことが、《Waiting for》(2021)における「地球上に存在する全ての動物の朗読」と「あらゆる動物がいない光景(=100万年前/後の光景)」のビジュアライズだった。
まずはいくつもの資料をかき集めて、学会や研究機関にも確認を仰ぎながら、膨大な動物の和英俗名をリスト化する作業から始めた。なんとか完成させた2万種以上の俗名リストの朗読には、少なくとも30時間以上を要することもわかった。

それらを俯瞰するひとつの「視点」をつくるために、当初は切れ目なくノンストップで読み上げを行う必要があると考えていた。しかし実際に朗読してみると、疲労、眠気、読み間違えなどにより、朗読は何度も失敗に終わり、最終的には、20時間と10時間の2回にわけて収録した音声を作品にすることにした。

そう決断したのは、このときに人間の身体の有限性について改めて強く実感させられたからだった。この朗読では、まるでコップの水が溢れるように、多すぎる情報や身体的な負荷など、演る者にとっても観る者にとっても、常に何かが手に余る状態が続いている。この何かが溢れた状態にこそ、ちっぽけな人間には推し量ることのできない「風景」と呼ぶべき何かが立ち上がるのを実感した。(原田裕規)

「アペルト14 原田裕規「Waiting for」」(金沢21世紀美術館、2021年)ハンドアウトより抜粋