セカイノコトワリ―私たちの時代の美術(京都国立近代美術館)

京都国立近代美術館で開催される「セカイノコトワリ―私たちの時代の美術」展に参加します。
「セカイノコトワリ」展は、1990年代以降の日本の現代美術を中心に、京都国立近代美術館のコレクションの特色から導き出されるいくつかのテーマ──視覚、身体、アイデンティティ、歴史など──にもとづき、国内の美術家の実践を紹介するもの。素晴らしい作家陣に加えていただき、身が引き締まる想いです。
また、会期中には笠原恵実子さん、風間サチコさんとのトークイベントにも参加します。ぜひご高覧ください。
出品作家一覧(50音順)
青山悟、石原友明、AKI INOMATA、小谷元彦、笠原恵実子、風間サチコ、西條茜、志村信裕、高嶺格、竹村京、田中功起、手塚愛子、原田裕規、藤本由紀夫、古橋悌二、松井智惠、宮島達男、毛利悠子、森村泰昌、やなぎみわ
info:
展覧会名:セカイノコトワリ──私たちの時代の美術
会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町26-1)
会期:2025年12月20日(土)– 2026年3月8日(日)
開館時間:午前10時 – 午後6時(金曜日は午後8時まで開館)*入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし、1月12日(月・祝)、2月23日(月・祝)は開館)、12月30日(火)–1月3日(土)、1月13日(火)、2月24日(火)
観覧料:一般 1,500円(1,300円)/大学生 700円(600円)
※()内は前売と20名以上の団体及び夜間割引(金曜午後6時以降)
※高校生以下・18歳未満は無料。 ※心身に障がいのある方と付添者1名は無料。
※ひとり親家庭の世帯員の方は無料*。
*入館の際に学生証、年齢の確認ができるもの、障害者手帳等をご提示ください。
※本料金でコレクション展もご覧いただけます。
主催:京都国立近代美術館、メルコグループ
■アーティスト・トーク「In Our Time」
会期中、出品作家が集まって本展のキーワードについて自由に語るトークシリーズを開催します。
*日程や登壇者は都合により変更する場合があります
「日常、偶然性、脆さ」
日時:2025年12月20日(土)14時–15時30分(開場13時30分)
登壇者:藤本由紀夫×竹村京×毛利悠子
会場:京都国立近代美術館1階講堂
定員:先着80名 *当日午前11時より1階受付にて整理券を配布します
参加費:無料(要観覧券)
「産業、手仕事」
日時:2026年1月12日(月・祝)14時–15時30分(開場13時30分)
登壇者:青山悟×手塚愛子×志村信裕
会場:京都国立近代美術館1階講堂
定員:先着80名 *当日午前11時より1階受付にて整理券を配布します
参加費:無料(要観覧券)
「寓話、労働、アイデンティティ」
日時:2026年1月24日(土)14時–15時30分(開場13時30分)
登壇者:森村泰昌×松井智惠×やなぎみわ
会場:京都国立近代美術館1階講堂
定員:先着80名 *当日午前11時より1階受付にて整理券を配布します
参加費:無料(要観覧券)
「身体性と知覚」
日時:2026年2月11日(水・祝)14時–15時30分(開場13時30分)
登壇者:石原友明×小谷元彦×西條茜
会場:京都国立近代美術館1階講堂
定員:先着80名 *当日午前11時より1階受付にて整理券を配布します
参加費:無料(要観覧券)
「 歴史と社会への眼差し」
日時:2026年2月28日(土)14時–15時30分(開場13時30分)
登壇者:笠原恵実子×風間サチコ×原田裕規
会場:京都国立近代美術館1階講堂
定員:先着80名 *当日午前11時より1階受付にて整理券を配布します
参加費:無料(要観覧券)
展覧会公式ウェブサイト
小説『青の純度』の書評を執筆

篠田節子さんの小説『青の純度』の書評を執筆しました。共同通信より全国各紙に配信中です。
本書に登場する「マリンアートの巨匠ヴァレーズ」は、バブル期に海中画で大衆の心を掴み、一方で美術界からは黙殺された画家であるとされています。
ある時期からその商法が問題視され、忘れられた画家となっていたヴァレーズ。その作品を商法と切り離して再評価する書籍を著そうとする人物が本書の主人公です。
以上を一読しただけで明らかなように、ヴァレーズのモデルは実在する画家クリスチャン・ラッセンであり、「その作品を商法と切り離して再評価する書籍を著そうとする人物」のモデルは、同様の企図のもとラッセンを再評価する書籍を何冊も著してきたぼく(原田裕規)であると思われます。
しかし本書にはラッセンや拙著の名前は一度も登場せず、巻末の参照文献リストを見ても、それらの情報は周到に排除されていました。
この小説は、画家、コーディネーター、ギャラリストなど、アートに携わる人々の倫理観を題材とするものです。しかし本書における著者のふるまいは、書き手としては倫理的とは言い難く、疑問が残るものでした。
たとえば、本書には以下のようなくだりがあります。
インテリア絵画として美術業界には黙殺され、評論家からはけなされるどころかまったく相手にされず、その一方で圧倒的な大衆的知名度を獲得していたヴァレーズ。(同書、10ページより)
これは『ラッセンとは何だったのか?』などの一連の書籍でぼくが繰り返し述べてきた内容に酷似するものです。
バブル期以後、イルカやクジラをモチーフにしたリアリスティックな絵で一世を風靡したクリスチャン・ラッセン。その人気とは裏腹に、美術界ではこれまで一度として有効な分析の機会を与えられずに黙殺されてきた。(『ラッセンとは何だったのか?』書籍紹介より)
また本書では「犯罪的な商法と、作品・作家を切り分け、その販売手法に言及した後、ジャンピエール・ヴァレーズの作品そのものを取り上げ、そこにある芸術と大衆性のせめぎ合いについて語る」ことが必要だという旨が繰り返し説かれています(同、54ページ)。
これも、ぼくが共同で企画した「ラッセン展」や一連の「ラッセン本」の中で繰り返し投げ掛けてきた問題意識と一致するものでした。
さらに本書の主人公は「ヴァレーズ本」を執筆するためにハワイ島へ渡り、ヴァレーズを探して島中を旅するのですが、これもぼくがラッセン本の執筆のためにハワイに渡って行ったリサーチの旅路と酷似する内容でした。
たとえば本書の中でヴァレーズは、ハワイを襲ったハリケーンによって自宅が被災して作品が失われてしまったという描写があります。
これは、2023年にラッセンの故郷ラハイナを山火事が襲い、ラハイナの町は全焼、100名以上の死者を出しながら、ラッセン自身の名前も一時期は行方不明者リストに掲載されていたという事実を彷彿とさせるものです。
この事実はニュースなどで報道されたものではなく、当時ぼくがマウイ郡の発出した行方不明者リストを入手し、Xに投稿したことによって明るみに出た内容でした(2023年8月15日の投稿)。
この件に関しては、日本語・英語ともにメディア等で報道された事実は確認できず、現在でも公の場で発信された情報としては、ぼくのXの投稿がほとんど唯一の情報源となっています。しかしやはり、そのことに対する言及もありませんでした。
そして本書の主人公は「ヴァレーズを実直に再評価する本」を書くためにハワイを取材し、その過程で知り合ったハワイの日系人と以下のような会話をするくだりがあります。
「すべての墓石が西の海側を向いて建てられているのです。海を隔てた日本を向いているのです」
ぼく自身も「ラッセンを実直に再評価する本(評伝クリスチャン・ラッセン)」を書くためにハワイに渡り、現地の日系人と交流していたのですが、その際にやはり「ハワイの日系人の墓石はすべて西の方角を向いて建っている」ということを現地の仏教関係者に教えてもらったことがありました。
このことは、サブタイトルに「ラッセン」の名前が入った拙著『とるにたらない美術:ラッセン、心霊写真、レンダリング・ポルノ』における「ラッセン論」とは別の論考(「アンリアルな風景」「ハワイ紀行」など)で記していた内容です。
これらのテキストは3DCGの表現史や日系人の歩みに関するものであり、ラッセンとはほとんど無関係な内容ですが、そうしたテキストさえも参照されたと思しき内容が含まれており驚きました。
……と、このように記述の手続きにおいては幾つもの疑問が残る内容でしたが、アートの価値決定のプロセスに対する疑問や、アートにおける作者の記名性の問題をサスペンスに仕立てる手腕は見事なもので、爽快な読後感のある物語になっていました。
だからこそ、願わくば適切な手続きのもとで記されてほしいものと思いました。
ラッセンにまつわるリサーチは、ぼくが10数年の年月をかけて、ハワイへの自費での渡航も経ながら行ってきたものです。取材のために費やした時間もコストも莫大なものでした。
本書の物語は、そうして得た知見や情報にあまりに多くの部分で立脚しているように思われました。いやむしろ、それらが物語を構成する基本的なアイデアになっているからこそ、読者が拙著にはたどり着けないように、敢えて参考文献リストから情報を排除したのではないかと邪推したくなるほどのものでした。
実際に本書のレビューを確認しても、筆者の「リサーチ力」や「突飛なアイデア」に対する賞賛のコメントが数多く寄せられている一方で、その参照源と思われる拙著の存在について指摘するコメントは確認できませんでした。
一方は直木賞なども受賞しているベストセラー作家であり、他方は発行部数で一桁以下も劣るマイナージャンルの書き手であるというこの権力勾配の中で、この状況は搾取的であるように感じられてしまいました。
もちろん、以上の指摘は状況証拠から見た推測に過ぎず、著者の真意は測りかねるものですが、ラッセンに関する一連の書籍(『ラッセンとは何だったのか?』『とるにたらない美術』『評伝クリスチャン・ラッセン』『ラッセンとは何だったのか?増補改訂版』)を著してきた当事者としては、どうしても見過ごすことはできず、指摘させていただきました。
ただ繰り返しますが、小説として本書は十分にスリリングで、優れた作品になっています。
書評と合わせてぜひ『青の純度』や『ラッセンとは何だったのか?』をご一読いただけますと幸いです。
info:
篠田節子『青の純度』書評(評者:原田裕規)
共同通信配信(全国各紙)
[読書]小説 青の純度 篠田節子著 忘れられた画家を求めて(沖縄タイムス)
書評 小説 青の純度(篠田節子著)(山陰中央新報デジタル)
FMラジオ&ポッドキャスト番組の「ニッチな学習帳」に出演

モデルの市川紗椰さんがナビゲートするFMラジオ&ポッドキャスト番組の「THE NICHE WORKBOOK~ニッチな学習帳~」にコメント出演しました。原田が登場するのは、2025年10月7日、14日、28日に配信される合計3回。配信終了後もポッドキャストでご視聴可能です。
info:
THE NICHE WORKBOOK~ニッチな学習帳~
配信日:2025年10月7日、14日、28日
FMラジオ J-WAVE、ポッドキャスト
ナビゲーター:市川紗椰
ゲスト:原田裕規(アーティスト)
番組ホームページ:https://www.j-wave.co.jp/original/nicheworkbook/
Spotify:https://open.spotify.com/show/1LTgDmkRiPWHzS36HrzyDy?si=f90aa93fcb854d4d
ワークショップ「じかんのつみき」(山梨県立美術館)開催のお知らせ

──なぞって描いた、じぶんの時間のかけらたち。それをつなぎ合わせて、入って楽しめる立体の風景をつくります。
山梨県立美術館でワークショップを開催します。
中学生の頃、「ゴッホ、ミレーとバルビゾンの画家たち」展(ひろしま美術館)の関連イベントに参加して、ゴッホが模写したフランソワ・ミレーの作品《刈り入れ》(1866-67年)を模写したことがありました。この展覧会はゴッホやミレーを主軸に置いたものでしたが、当時ぼくが夢中になったのはテオドール・ルソーの作品でした。
ルソーの作品には、特筆すべき風景は何も描かれていません。そこには見晴らしのいい絶景も、可愛らしい動物も、ドラマチックな海原も見当たらない。世界のどこにでもありそうな、とるにたらない風景が描かれている。それにもかかわらず、その風景を見飽きることはいつまでもない──。
ルソーの作品に描かれた木、雲、水辺にはそれぞれ固有の時間軸が刻まれており、それらが通常はあり得ないかたちで相対するように同居している。だからこそ、それぞれの時間を視線が何度も行き来することで、いつまでも見飽きることがない風景が実現しているのではないだろうか──しばらく経ってから、そのように考えるようになりました。
今回ワークショップを行う山梨県立美術館には、日本でも数少ないルソー作品のコレクションがあります。そこで本ワークショップでは実際にルソーをはじめとする風景画家たちの作品を鑑賞しながら、木、雲、川、山など、固有の時間が流れる風景の「影」をなぞり、最終的には参加者全員で「じかんを積み上げる」ことによってひとつの風景を組み立てます。
お申し込みなどの詳細は以下をご覧ください。
大人から子どもまでどなたでもご参加いただけますので、皆さまお気軽にぜひ!
info:
みんなでつくる美術館2025
みなびワークショップ⑥「じかんのつみき」
日時:2025年11月3日(月・祝) 10:00–15:30
会場:山梨県立美術館 ワークショップ室
講師:原田裕規(アーティスト)
定員:15名
対象:小学4年生以上
申込期間:10月3日(金)~定員になり次第締切 ※参加無料、どなたでも参加できます。
申込方法:電話にてお申込みください。
申込先:055-228-3322
①参加希望ワークショップ ②参加者の氏名 ③子どもの場合は年齢 ④電話番号
注意事項:開始10分前には会場へお集まりください。
https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/exhibition/2025/1674.html
シンポジウム「菊畑茂久馬を今日的に見る」登壇のお知らせ

シンポジウム「菊畑茂久馬を今日的に見る」に登壇します。
菊畑さんは個人的に最も尊敬するアーティストの一人で、とくに彼の著作『フジタよ眠れ』における「戦争画語り」から大きな影響を受けながら、ぼく自身もラッセンに関する一連の書籍を執筆してきました。
そんな菊畑さんが2020年に亡くなってから早や5年。当時はコロナ禍でしたが、それも明けた今年ようやく、菊畑さんの地元にある福岡市美術館で「しのぶ会」が開かれることになりました。
その第1部にあたるシンポジウムに、文化研究者の山本浩貴さん、菊畑さんの生前最後の回顧展を企画された山口洋三さんと登壇します。
つい先日には打ち合わせを兼ねて、ご子息の菊畑拓馬さんのご案内のもと、作家のアトリエを初訪問させていただきました。
当日は菊畑さんから受け取ったものなどについて精一杯お話ししますので、皆さまぜひご来場いただけますと幸いです。
info:
「LINKS-菊畑茂久馬」関連企画
シンポジウム「菊畑茂久馬を今日的に見る」
日時:2025年10月5日(日)14:00–16:00(開場:13:30)
会場:福岡市美術館 1階 レクチャールーム
講師:原田裕規(アーティスト)、山本浩貴(文化研究者、実践女子大学文学部准教授)、山口洋三(インディペンデントキュレーター、司会進行)
料金:無料
定員:54人(事前申込制)※応募者多数の場合は抽選
詳細はこちら
福岡に生まれた前衛美術グループ「九州派」のメンバーとして、そして戦後前衛美術の代表的アーティストの1人として知られた菊畑茂久馬が亡くなってから5年が経過しました。これを記念する形で、現在「LINKS―菊畑茂久馬」が全国の美術館の協力の下開催されています。このシンポジウムは、「LINKS」に関連した企画です。
菊畑茂久馬は、自らを育んだ「戦後」という時代を一身に引き受けて、戦争画の研究や山本作兵衛の評価に取り組む一方で、福岡という地方をこそ中心とする「天動説」の絵画思想を宿した連作絵画で東京中心の美術界に挑みました。その制作態度や作品は、今なお魅力を放っています。
このシンポジウムでは、1980年代生まれの研究者とアーティストをお招きし、菊畑茂久馬の思想と作品が持つ今日性について語ります。菊畑が生きた「戦後」が遠ざかる中、いま改めて菊畑の諸活動に注目し、その今日的意義について認識を深めたいと思います。
主催:一般社団法人菊畑茂久馬美術青家協会、福岡市美術館
関連企画:LINKS──菊畑茂久馬 、コレクション展 菊畑茂久馬展
スタジオ移転のお知らせ

スタジオを川口から湘南の西側(西湘)に移転しました。なんと、海まで徒歩30秒!
知り合いの方はスタジオビジットも歓迎です。ぜひお気軽にお越しください。
I have moved my studio from Kawaguchi to the western side of Shonan (Seisho area), just 30 seconds from the ocean.
Friends and colleagues are very welcome to visit the studio anytime. Please feel free to drop by.
プレイバック!美術手帖 Vol.38

発売中の『美術手帖』(2025年10月号)に連載プレイバックの第38回が掲載されました。
今回取り上げたのは、1997年1〜3月号所収の連載「他の批評基準」。同誌がこれまで担ってきた「国外言説の輸入」という役割にスポットを当てながら、その発表/訳出時期の時差に見られる批評家像の変遷について検討しました。
info:
美術手帖 2025年10月号(特集「加藤泉」)
プレイバック!美術手帖 Vol.38
226-227ページ
発売日 2025.09.05
造本・体裁 A5判変型
定価 2,000円+税
https://bijutsu.press/books/5658/
「GHOSTSCALE」展トークイベント 原田裕規×星野太×塩崎太伸(WHITEHOUSE)

WHITEHOUSEで開催される「GHOSTSCALE」展で、星野太さん(美学者、東京大学院准教授)、塩崎太伸さん(アトリエコ共同主催、東京科学大学准教授)とトークをします。ぜひご来場ください。
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「GHOSTSCALE」展にむけて
リミナルスペースとは、不気味な雰囲気を醸すシュールな無人空間を指すインターネット美学の一種で、2019年ごろから匿名の投稿者たちによってネット上に上げられた不気味な画像・映像がいつしかそう呼ばれるようになった。
それらに特有のイメージとは、行ったことのない場所の追体験であると同時に、行ったことがあったかのような錯覚である。なぜかその場所を知っている、そのような現実と虚構の記憶の重なりが現代のメディア上の新たな空間認識として注目を集めている。
本展覧会は、建築空間をその新たな美学から捉え直すものである。
通常、建築を設計する行為においては空間の尺度(スケール:SCALE)が図面や模型といった表象を成立させている。当たり前のようだが、建築は設計の段階では実在しない。つまりスケールは、これからどこかで建つ建築を観念的に立ち上げる道具である。このときスケールには、想像するものを現実世界に引き寄せるリアリティと、いまここには存在しないものを思考するというフィクショナリティが同時に存在しているはずである。
その両義性から建築を再構築する。私たちは、WHITEHOUSEのなかにもうひとつのWHITEHOUSEを事後的に制作した。それらの関係がつくるスケールの不確定性(GHOSTSCALE)によって、建築空間における現実と虚構の奇妙な重なりが観測される。
info:
展覧会名:GHOSTSCALE
会場:WHITEHOUSE
〒169-0073 東京都新宿区百人町1-1-8
西武新宿線西武新宿駅北口より徒歩3分、JR山手線新大久保駅より徒歩6分、JR中央・総武線大久保駅南口より徒歩6分、東京メトロ副都心線・都営大江戸線東新宿駅A1出口より徒歩10分
開催日:2025年8月27日(水)〜9月6日(土)
開催時間:13:00~20:00 / 8月30日は13:00〜15:00、9月6日は13:00〜16:00
入場料:無料
企画:リミナルスペースラボ
協力:東京科学大学塩崎太伸研究室
連絡先:liminalspace.isct@gmail.com / 0334548730 / 〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6 CIC506
(事務局:塩崎太伸研究室内)
■トークイベント①
登壇者:井上 岳(GROUP共同主催)・玉山拓郎氏(アーティスト)
モデレーター:涌井智仁氏(WHITEHOUSEディレクター)
開催日時:8月30日(土)
開催時間:16:00~
会場:WHITEHOUSE
入場料:1,500円
予約:Peatixにて8月18日12:00受付開始
https://ghostscale.peatix.com/view
■トークイベント②
登壇者:原田裕規氏(アーティスト)・星野太氏(美学者、東京大学院准教授)
モデレーター:塩崎太伸(アトリエコ共同主催、東京科学大学准教授)
開催日:9月6日(土)
開催時間:17:00〜
会場:WHITEHOUSE
入場料:1,500円
予約:Peatixにて8月18日12:00受付開始
https://ghostscale.peatix.com/view
※最新情報はInstagram アカウント@liminal_space_labをご覧ください
https://www.instagram.com/liminal_space_lab/
オンラインメディア『CLABO實驗波』に《One Million Seeings》に関する評論が掲載

台湾・当代文化実験場が運営するオンラインメディア『CLABO實驗波』に《One Million Seeings》に関する評論が掲載されました。
当該の評論は、映像研究者・作家の許鈞宜さんによる「重塑影像物」。映像と物質性の関係を探る考察のなかで《One Million Seeings》について評論されています。ぜひご一読ください。
info:
許鈞宜「重塑影像物:從拾獲視覺到檔案的再創造」(上・下)『CLABO實驗波』、当代文化実験場(台湾)
重塑影像物:從拾獲視覺到檔案的再創造(上)2025.06.04
https://mag.clab.org.tw/clabo-article/image-object-1/
重塑影像物:從拾獲視覺到檔案的再創造(下)2025.08.19
https://mag.clab.org.tw/clabo-article/image-object-2/
原田裕規《ホーム・ポート》特別展示 閉幕のお知らせ

福岡の書店・本のあるところ ajiroでの映像作品《ホーム・ポート》の特別展示が無事に終了いたしました。ご覧いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
info:
原田裕規《ホーム・ポート》特別展示
会期:2025年8月18日(月)– 9月1日(月)
場所:本のあるところ ajiro(福岡市中央区天神3-6-8-1B)
観覧料:無料
『シャドーイング:影を追う旅』刊行記念トークイベント
原田裕規×栖来ひかり「山口、台湾、ハワイをつなぐ物語」
日時:2025年8月28日(木)19:00–20:30(開場:18:30)
出演:原田裕規(アーティスト)×栖来ひかり(文筆家)
場所:本のあるところ ajiro(福岡市中央区天神3-6-8-1B)
参加方法:会場参加/学割チケット
チケット:会場1,650円(学割1,100円)
お問い合わせ:ajirobooks@gmail.com(担当:鶴田)
日本ハワイ移民資料館 トークイベント終了のお知らせ

日本ハワイ移民資料館でのトーク、無事に終了しました。2023年の個展の振り返りから、資料館の成り立ち、第二弾の構想まで、盛り上がりながらも地元に戻ってきたような安心感のあるイベントになりました。
最後にお世話になったみんなを記念に撮影(ティキも)。皆さま本当にありがとうございました!
info:
『シャドーイング:影を追う旅』刊行記念トークイベント
日本ハワイ移民資料館とアートのこれから
日時:2025年8月30日(土)15:00–16:30
登壇:原田裕規(アーティスト)×塚本麻莉(高知県立美術館 主任学芸員)×木元眞琴(日本ハワイ移民資料館 館長)
会場:日本ハワイ移民資料館(山口県大島郡周防大島町西屋代上片山2144)
参加料:1,000円(入館料込)
予約:不要
お問い合わせ:0820-74-4082
主催:大島国際交流協会
協力:周防大島地人協会
日本ハワイ移民資料館ウェブサイト
https://suooshima-hawaii-imin.com/
原田裕規×塚本麻莉×木元眞琴「日本ハワイ移民資料館とアートのこれから」

2023年に当館では、山口県出身のアーティスト・原田裕規の個展「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(キュレーション:塚本麻莉)を開催しました。当館初の現代美術展として開催された同展は話題となり、各地から多くの人々が訪れたほか、翌年には原田の作品「シャドーイング」が当館に収蔵・常設化されるに至りました。
そして今年5月、同展のドキュメントと作品の台本、多彩な人々の寄稿などを収録した『シャドーイング:影を追う旅』(this and that)が刊行されました。
このたび、その刊行を記念して、原田裕規、塚本麻莉、木元眞琴(当館館長)の三者によるトークイベント「日本ハワイ移民資料館とアートのこれから」を開催します。
そもそもなぜ、日本ハワイ移民資料館だったのか? あの展覧会はいかにして実現したのか? そして同展の開催を通して見えてきた、当館とアートのこれからとは?
本イベントは、展覧会の閉幕後、当館で初めて行われるアートイベントになります。どなたもぜひお気軽にご来場ください。
info:
『シャドーイング:影を追う旅』刊行記念トークイベント
日本ハワイ移民資料館とアートのこれから
日時:2025年8月30日(土)15:00–16:30
登壇:原田裕規(アーティスト)×塚本麻莉(高知県立美術館 主任学芸員)×木元眞琴(日本ハワイ移民資料館 館長)
会場:日本ハワイ移民資料館(山口県大島郡周防大島町西屋代上片山2144)
参加料:1,000円(入館料込)
予約:不要
お問い合わせ:0820-74-4082
主催:大島国際交流協会
協力:周防大島地人協会
登壇者プロフィール
塚本麻莉(つかもと・まり)
高知県立美術館主任学芸員。1989年、大阪府生まれ。2014年、東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻修了。2016年より現職。
保存修復の知識を背景に、「残すべきものは何か」を問いつつ、会場ごとの地域性や特性をいかしたキュレーションを行う。高知県立美術館では、2020年に高知ゆかりの作家を紹介する個展シリーズ「ARTIST FOCUS」を立ち上げたほか、2022年に同県出身の美術家・合田佐和子の回顧展を企画。美術館外の企画にも積極的に取り組み、「原田裕規 個展 やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(日本ハワイ移民資料館、2023)など、若手・中堅作家の自主企画展を多数手がける。
木元眞琴(きもと・まこと)
日本ハワイ移民資料館館長。1951年、山口県生まれ。山口県大島郡周防大島町に行政職として勤務、同館開館に携わる。2013年から指定管理者・大島国際交流協会に参画、同館館長に就任。
日本ハワイ移民資料館ウェブサイト
https://suooshima-hawaii-imin.com/
原田裕規×栖来ひかり「山口、台湾、ハワイをつなぐ物語」

今年5月に刊行された『シャドーイング:影を追う旅』は、山口県の日本ハワイ移民資料館で開催された原田裕規さんの個展の記録と、作品「シャドーイング」の台本や、多彩な人々の寄稿を収録した「旅の本」です。
著者でアーティストの原田裕規さんは、2019年からハワイに通うようになり、ピジン英語に代表される混成文化を調査していました。その際に訪れたハワイ・マウイ島のラハイナで、自らの生まれ故郷である山口県出身者たちの墓石群に出会い、実は山口が全国有数の移民県であったことを知りました。
山口県出身で台湾在住の栖来ひかりさんは、『日台万華鏡』『台湾と山口をつなぐ旅』などの著作で知られる文筆家です。山口からは、ハワイや台湾などの各地に人々が海をわたった時代があり、『シャドーイング:影を追う旅』のなかで栖来さんは、そうした人々の歩んだ物語を情感たっぷりに描き出しています。
山口、台湾、ハワイ。一見して交わることのないように見える3つの地域がなぜ結びつくのか。それぞれの土地にまつわる物語から浮かび上がってくる歴史や文化について、そして原田さんの作品の魅力についてたっぷりお話しいただくトークイベントです。
また、本トークに合わせて、原田さんがハワイ・ラハイナをモチーフに表現した映像作品《ホーム・ポート》の特別展示も実施します(8/18~9/1)。トークと展示のどちらにも皆さまぜひご来場ください。
★お申し込みはこちらから
会場参加チケット ※学割対象はこちらから
info:
『シャドーイング:影を追う旅』刊行記念トークイベント
原田裕規×栖来ひかり「山口、台湾、ハワイをつなぐ物語」
日時:2025年8月28日(木)19:00–20:30(開場:18:30)
出演:原田裕規(アーティスト)×栖来ひかり(文筆家)
場所:本のあるところ ajiro(福岡市中央区天神3-6-8-1B)
参加方法:会場参加/学割チケット
チケット:会場1,650円(学割1,100円)
お問い合わせ:ajirobooks@gmail.com(担当:鶴田)
原田裕規《ホーム・ポート》特別展示
会期:2025年8月18日(月)– 9月1日(月)
場所:本のあるところ ajiro(福岡市中央区天神3-6-8-1B)
観覧料:無料
出演者プロフィール
栖来ひかり(すみき・ひかり)
文筆家。山口県出身。京都市立芸術大学美術学部卒業、2006年より台湾在住。日本での著書に『台湾りずむ 暮らしを旅する二十四節気』(西日本出版社、2023)、『日台万華鏡──台湾と日本のあいだで考えた』(書肆侃侃房、2023)、「時をかける台湾Y字路──記憶のワンダーランドへようこそ』(図書出版へウレーカ、2019)、『台湾と山口をつなぐ旅』(西日本出版社、2018)。訳書に宗明『陳澄波を探して消された台湾画家の謎』(岩波書店、2024)がある。イラストや挿絵も手掛ける。雑誌「地平」にて、《 台湾・麗しの島だより――移行期正義の練習帳」》、オンラインマガジン「ほんのひととき」にて《へうへうと水を味ふ日記》を連載中。
イベント詳細:https://note.com/kankanbou_e/n/neaa23fae520c
金沢21世紀美術館のポッドキャスト/レーベル「21Hz」に出演

金沢21世紀美術館のポッドキャスト/レーベル「21Hz」に出演しました。
出演した企画「〇〇さんと話してみた」は、21世紀美術館にゆかりのあるゲストをお迎えして美術館スタッフといろいろ話す単純明快プログラム。
同館学芸員の池田あゆみさんからインタビューしていただきました。ぜひご視聴ください!
info:
21Hz ep110「原田裕規さんと話してみた」
配信日時:2025年8月7日(木)
出演:原田裕規(アーティスト)×池田あゆみ(金沢21世紀美術館学芸員)
21Hz https://open.spotify.com/show/4J6Vgsq034UET3rSTkId0L?si=0cf2f930886f4dc1
出演者プロフィール
池田あゆみ(金沢21世紀美術館学芸員)
1987年群馬県生まれ。国際基督教大学人文科学科卒業、東京大学総合文化研究科修士課程(表象文化論)修了。国立国際美術館研究補佐員を経て、2019年より現職。担当した主なプロジェクト・展覧会に、「自治区 金石大野芸術計画」(2019-2022)、「コレクション展 スケールス」(2020)、「アペルト14 原田裕規 Waiting for」(2021)、「ぎこちない会話への対応策 第三波フェミニズムの視点で」(2021)。
「CAF・レジデンシー・プログラム2025」の第1回 助成対象者に選出

このたび、新たに設立された助成事業「CAF・レジデンシー・プログラム2025」の第1回 助成対象者に選出されました。
今回のプログラムでは、多数の応募者からの書類選考を経て、選考委員による対面のインタビュー形式での最終審査の結果、原田裕規と中島伽耶子の2名のアーティストが選出されました。
選考委員は、野村しのぶ氏(東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター)、吉竹美香氏(インディペンデント・キュレーター)、斯波雅子氏(ブルックリン実験アート財団(BEAF)共同創設者・エグゼクティブ・ディレクター)の3名。
助成内容として、NY・ブルックリン実験アート財団(BEAF)での3ヶ月間のレジデンス滞在が予定されています。
長年、海外に出ることを目指していました。貴重な機会をいただくことができて、本当に嬉しく思っています。採択者コメントと選考委員評は以下をご覧ください。
採択者コメント
原田裕規
長い間、海外に出たくても出るチャンスを逃し続けていました。
海外挑戦の適齢期といえる30代前半にはコロナ禍が直撃。ようやくコロナが明けた頃には30代半ばに差し掛かり、海外渡航プログラムの年齢制限がチラつき始めました。このまま40代を迎えてしまうと、本格的に海外に出るチャンスはなくなってしまうのではないかと不安を覚えていたタイミングで、本助成に選出していただきました。
この大変貴重な機会をくださり、誠にありがとうございます。このチャンスを120%活用し、グローバルに活動できる作家へと成長したいと思います。
中島伽耶子
作家として活動してきましたが、今が分岐点のように感じています。30代半ばという年齢的なこともありますし、能登半島地震で知人の多くが被災した姿を目の当たりにしたことで、自分の中で価値観が変わってしまったというのもあるかもしれません。今までの方法論ではダメだという漠然とした直感と足掻きの中で、今回の助成をいただき本当に嬉しく思います。皆様の力をお借りしながら、貴重なチャンスを楽しみたいです。
CAF・レジデンシー・プログラム2025 選考委員評
東京オペラシティアートギャラリー
シニア・キュレーター
野村しのぶ
助成対象者が2名(組)になったことで幅が生まれ、より自由な選考が可能になった。実力があり実績豊富な作家の応募が多数あり、そのなかでニューヨーク滞在が作家の将来の飛躍につながると思われる作家6名と、最終選考で面談を行った。採択された中島伽耶子は社会における「壁」をテーマに制作・展示を行ってきた実践が、分断が進む世界を実際に経験することでどのように展開されるのか期待を持った。原田裕規は国内の美術館での個展をはじめ近年急速に活躍の場を広げており、本助成によって新たなフェーズへの飛躍が期待できると考えて採択した。それぞれが米国滞在ならではの調査・体験を通して、今後より充実した作家活動につながることを期待している。
インディペンデント・キュレーター
吉竹美香
中島伽耶子の境界をテーマとする完成度の高いインスタレーションは、パフォーマンスを体験しているような緊張感を感じさせる。日本の前衛美術史を取り入れながら、アメリカでも深く問題が続くトランスジェンダーの差別問題を深く貫く共同プロジェクトに感動を浴び、これからの新たなプロジェクトを応援している。原田裕規は長年海外で制作をされ、特にハワイで過ごした体験が貴重なターニング・ポイントであり、より繊細な言語を作り出せたと思う。戦後日本の歴史と海外での人種問題について、根本的で曖昧な人間性を見出し、しかも現代の感性と繋ぐ微妙な視覚センスを持っている。これからのビジョンが楽しみである。
ブルックリン実験アート財団 (BEAF)
共同創設者・エグゼクティブ・ディレクター
斯波雅子
今回は2名のアーティストを迎えることとなり、前回を上回る多様な応募があったことで、このプログラムの方向性を改めて考える貴重な機会となった。選考にあたっては、作家の活動形態やキャリアのバランスを見つつ、「今」NYに来ることの意義がどれほど際立つかを重視した。特に両者に共通するのは、創作と並行して別の活動領域を持ち、それが一見明らかではないかたちで作品に影響を与えている点であり、そうした複層的な視点が、今現在の激動のアメリカという多層的な社会でどう揺さぶられ、変容していくのか、その展開が非常に楽しみである。
info:
CAF・レジデンシー・プログラム2025
助成対象者:原田裕規、中島伽耶子
選考委員:野村しのぶ(東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター)、吉竹美香(インディペンデント・キュレーター)、斯波雅子(ブルックリン実験アート財団(BEAF)共同創設者・エグゼクティブ・ディレクター)
現代芸術振興財団ウェブサイト
「CAF・レジデンシー・プログラム2025」の助成対象者に中島伽耶子、原田裕規らが決定(美術手帖)
「NAMコレクション2024 第Ⅲ期 もうひとつの風景」展示風景映像
「NAMコレクション2024 第Ⅲ期 もうひとつの風景」(長野県立美術館)の展示風景映像が公開されました。
展示をご覧になられた方も見逃した方も、皆さまぜひご覧ください。
info:
「NAMコレクション2024 第Ⅲ期 もうひとつの風景」展示風景映像
制作:2025年/時間:2分14秒
撮影・編集:渡辺真太郎、藤田恵実/音楽:Meat Bun
https://youtu.be/QWYAaLIUx00?si=3p2sg6ILDzwUSqj3
「公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」展示風景映像
「公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」(長野県立美術館)の展示風景映像が公開されました。
展示をご覧になられた方も見逃した方も、皆さまぜひご覧ください。
info:
「公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」展示風景映像
制作:2025年/時間:2分51秒
撮影・編集:渡辺真太郎、藤田恵実/音楽:Meat Bun
https://youtu.be/9qqz1Pug7yA?si=ISmgdNfal_qPHz0o
『原田裕規:ドリームスケープ』(this and that)


長野県立美術館で開催された2つの展覧会(公開制作「原田裕規 ドリームスケープ」+キュレーション展「もうひとつの風景」)の記録集が発売されています。
ひとつの美術館で同一作家の公開制作(個展)とキュレーション展が同時開催されることは珍しいことだと思いますが、2つの展覧会が同根であることがよくわかる一冊になりました。
内容としては、企画者の山下樹里さんと原田それぞれの視点によるエッセイ、「原田裕規:ドリームスケープ」の制作/展示の様子、「もうひとつの風景」の展示記録、風景表現や印刷技術に関わる多彩な方々へのインタビューやコラムなどを収録しています。
また、展示の核となった作品《残照》を再解釈したPPシートのカバー(デザイン:芝野健太)もユニークな仕上がりになりました。
展覧会を見た方もそうでない方も、ぜひお手にとってご覧ください。







info:
原田裕規:ドリームスケープ
監修:長野県立美術館
this and that、2025年3月30日
186×123×9mm、128ページ、並製、PPシートカバー
定価 2,500円+税
・「公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」「NAMコレクション2024第Ⅲ期 もうひとつの風景」記録集
・「風景表現」と「印刷技術」に関わる方々へのインタビューやコラムを収録
・長野県立美術館のコレクションを豊富なカラー図版で紹介
・青い光に満ちた作品の特徴と、公開制作とコレクション展の記録を造本にも展開
長野県立美術館の「公開制作」は、アーティストが一定期間美術館に滞在して作品を制作し、その制作過程や完成した作品を紹介するプログラムです。
4回目となった2024年度は、とるにたらない視覚文化をモチーフに、テクノロジー、リサーチ、パフォーマンスなどを駆使して作品を制作しているアーティスト・原田裕規を招聘しました。
原田は、公開制作のために長野をリサーチする中で、「風景表現」と「印刷技術」という2つのキーワードに関心を示します。今回の公開制作では、近年「ドリームスケープ」と呼ばれるデジタル風景表現について考察・制作を重ねてきた原田が、長野の風景表現に向き合い、CGで新たな風景作品を生み出しました。
また当館初の試みとして、NAMコレクション2024第Ⅲ期のゲストキュレーターを原田が担当しました。このコレクション展では「もうひとつの風景」というタイトルのもと、長野の特徴的な風景を描いた作品や、「荒野」をモチーフとした松澤宥の言葉の作品などを通じて、長野県の各地域と風景表現の関わりが示されました。
本書では、「公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」を実施するにあたって、その準備段階から、実際の公開制作の様子、「NAMコレクション2024第Ⅲ期 もうひとつの風景」との関りと展示の記録、風景表現と印刷技術に関わる方々へのインタビューやコラムなどを収録し、原田が「夢のような風景」を追った旅の様子を凝縮しました。
目次
006 「公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」をめぐって 山下梅里
017 1章──NAMコレクション2024第Ⅲ期 もうひとつの風景
018 もうひとつの風景を旅する 原田裕規
022 疎開作家が見つめていたもの
025 北アルプス、長野、浅間山
030 八ヶ岳、御嶽山、荒野
034 台湾へ、米国へ
038 諏訪湖が見る絵とは?
046 郷愁とリフレクション
049 コラム・インタビュー①
050 [コラム]長野県立美術館のコレクションと、「影」としての「もうひとつの風景」 鈴木幸野
053 [インタビュー]アメリカに渡った日本画家・赤羽雪邦とは何者か? 木下 守
061 2章──公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ
062 作品図版
064 本作について 原田裕規
066 展示風景
077 長野と《残照》をめぐる旅 原田裕規
093 コラム・インタビュー②
094 [コラム]「写真らしさ」の解体と再定義──PM-700Cの登場と写真をめぐる言説の変遷に関する小論 松井 正
098 [インタビュー]インクジェットプリンターが写真を印刷するようになるまで 山口修一
107 [インタビュー]松澤宥作品を「風景画」として見る 松澤久美子
113 あとがき 原田裕規
118 NAMコレクション2024第Ⅲ期 もうひとつの風景 出品作品リスト
121 公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ 出品作品リスト
122 NAMコレクション2024第Ⅲ期 もうひとつの風景 主要作家解説
124 原田裕規 略歴
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原田裕規:ドリームスケープ
監修:長野県立美術館
執筆:原田裕規、山下樹里、鈴木幸野、松井正、木下守、山口修一、松澤久美子
アートディレクション・デザイン:芝野健太
写真:村松桂(株式会社カロワークス)
編集:山下樹里、堀千晶
印刷・製本:株式会社ライブアートブックス
発行:this and that
2025年3月30日発行 2025年6月下旬配本
186×123×9mm、128ページ、並製、PPシートカバー
定価 2,500円+税
ISBN978-4-9910062-7-2 C0070
Publisher Site
Amazon
「心霊写真」展(22:00画廊)ページ公開のお知らせ

「心霊写真」展(22:00画廊、2012年)の展覧会ページを公開しました。
皆さま、ぜひご覧ください。
info:
「心霊写真」展
2012年9月14日–10月6日、22:00画廊(東京)
出品作家:井上光太郎、百頭たけし、心霊写真
企画:榮龍太朗、原田裕規
https://www.haradayuki.com/exhibitions/shinrei-shashin/
「ラッセン展」(CASHI)ページ公開のお知らせ

「ラッセン展」(CASHI、2012年)の展覧会ページを公開しました。
皆さま、ぜひご覧ください。
info:
ラッセン展
2012年8月1日–8月25日、CASHI(東京)
出品作家:クリスチャン・ラッセン、山口俊郎、小林武雄、出相洸一、結城唯善、悠久斎、梅沢和木、百頭たけし
企画:大下裕司、原田裕規
https://www.haradayuki.com/exhibitions/lassen/
「LOVEファッション──私を着がえるとき」展 閉幕のお知らせ

京都・熊本・東京を巡回してきた「LOVEファッション──私を着がえるとき」展、無事にすべての会期が終了しました。
原田のシャドーイングは会場ごとに全て異なる展示方法になりましたが、「舵の曲がったボート」について語るトミゴロウが会場の最後に置かれる構成は共通していました。
シャドーイングは「声」を用いて「声」に向き合ってみた作品です。
日系アメリカ人の声を基点に、原田の声とデジタルヒューマンの顔が二重・三重に追跡する構造になっています。声に表れる逃れがたい「私自身」と、それでもなお私自身から逃れようとする人間の意志を同時に扱おうとしました。
この「私自身」をめぐる2つの相反する運動は「私を着がえるとき(In Search of Myself)」という副題の付いた展覧会のテーマと共鳴するものでした。
この展覧会は、筆跡に表れる逃れがたい/逃れたい「私自身」(横山奈美)から始まり、さまざまなファッション/アートにおける同様の問いを経由して、最終的には声に表れる逃れがたい/逃れたい「私自身」(原田裕規)で終わるという会場構成になっていました。
単純な自分語りでも私小説でもなく、さまざまな政治的・身体的な場としての「私自身」をめぐる問いが、筆跡から身体へ、身体から衣服としての家(AKI INOMATA)へ、家から声へと自在に展開していくのを感じ、目を見開かれる想いがしました。それもあって、この展覧会の一部を担えたことがとても嬉しかったです。
展覧会のチームもとても楽しいメンバーでした。京都国立近代美術館の牧口さん、渡辺さん。熊本市現代美術館の池澤さん。東京オペラシティアートギャラリーの福島さん。京都服飾文化研究財団の小形さん、石関さん、新居さん、五十棲さん。デザイナーの岡﨑さん、田岡さん。会場構成の井上さん、石毛さん、楊さん。伏見工芸の朝倉さん。東京スタデオの楠原さん。参加作家のINOMATAさん、松川さん、横山さん。……まだまだ書き切れない人たちも含めて、全員が各自の持ち場で専門性を発揮できる絶妙な体制になっており、いつまでもこのチームで展覧会づくりをしていたいと思わされるほどに楽しい1年半でした。
設営のために京都と熊本で滞在した日々も本当に楽しかった。
「LOVEファッション」チームの皆さま、展示をご覧いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
展覧会は終わってもカタログは残っているので、カタログもぜひご覧いただけますと幸いです。
info:
LOVEファッション──私を着がえるとき
会期:2025年4月16日(水)– 6月22日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー[ギャラリー1, 2]
LOVEファッション──私を着がえるとき
会期:2024年12月21日(土)– 2025年3月2日(日)
会場:熊本市現代美術館
LOVEファッション──私を着がえるとき
会期:2024年9月13日(金)– 11月24日(日)
会場:京都国立近代美術館
展覧会カタログ
https://www.kci.or.jp/love/goods/index.html
MEET YOUR ARTに出演
現代アート専門番組「MEET YOUR ART」に出演しました。
MCの森山未來さん、ナビゲーターの小池藍さんと最近の作品について話しています。番組の終盤では新作《マウイ饅頭》の実食も!? ぜひご視聴ください。
info:
【MEET YOUR ARTISTS】20万枚の行き場のない写真から、33時間にわたり動物の名前を読み上げるアニメーション作品、さらにはハワイの混成語から饅頭まで?!原田裕規が表現する現代における“イメージの手触り”とは
YouTube –「アートと出会う」現代アート専門番組【MEET YOUR ART】
ゲスト:原田 裕規
MC:森山未來
ナビゲーター:小池藍
運営会社:エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社
プロデューサー:加藤信介、古後友梨
制作協力:IN THE POOL,inc
技術協力:K-5
2025年6月17日(火)19時配信
https://youtu.be/M25ocUtOC5Y
『アートコレクターズ』2025年6月号(特集:抽象絵画の見方)で作品紹介

発売中の『アートコレクターズ』2025年6月号に所収の「宮津大輔が選ぶNew Media Art」で、合計1万字超の原田論の後編が掲載されています。皆さまぜひご一読ください。
info:
『アートコレクターズ』2025年6月号(特集:抽象絵画の見方)
生活の友社、2025年5月23日
宮津大輔「宮津大輔が選ぶNew Media Art: File94 原田裕規(後編)」、124頁
https://www.tomosha.com/book/b663493.html
プレイバック!美術手帖 Vol.37

発売中の美術手帖(2025年7月号)に連載プレイバックの第37回が掲載されました。
今回取り上げたのは、1981年11月号の「私たちの美術館」特集。佐倉のDIC川村記念美術館や品川の原美術館などの閉館が相次ぐ今、寺山修司の美術館論などを通して、新たな「私たちの美術館」像とは何かを検討しました。
info:
美術手帖 2025年7月号(特集「岡﨑乾二郎」)
プレイバック!美術手帖 Vol.37
230-231ページ
発売日 2025.06.06
造本・体裁 A5判変型
定価 2,000円+税
https://bijutsu.press/books/5617/
山口情報芸術センター[YCAM]での展示が終了

どんな表情に見える?
18歳~80歳に見える
さむそう(上着着てないから)
悲しそう(目が潤んでて口も大きく開かない) 小さく震えている
むなしそう(まばたきが多くて涙を堪えているように見える)
魚に見える(話の内容から。若作りしすぎて魚になった)
モノマネみたいにしてるのに悲しそうなのはなぜ?
──@usgiさんのInstagram投稿より
山口情報芸術センター[YCAM]での《シャドーイング(トミゴロウ)》と富田七海さんとの共作《マウイ饅頭》の展示が終了しました。
冒頭の文章の画像は、許可を得て@usgiさんのInstagram投稿から拝借したものです。
出身地・山口市での展示は今回が初めてでしたが、自分にとっては美術を始める原点になった山口の地で、子どもたちが一生懸命作品を見てくれていたのは本当に嬉しい光景でした。
富田七海さんとの共作は新しい試みでしたが、昨年から大きな展覧会が続いた分、今回は肩の力を抜いて軽やかに制作しようという心持ちで取り組み、実際に富田さんのおかげで楽しい制作ができました。
展示を担当してくれたYCAMの見留さやかさんとは、見留さんが十和田市現代美術館に勤務されていた時代から親しくさせていただいていて、青森→山口という本州縦断を経て展示をご一緒できたことがとても嬉しかったです。
YCAMのテクニカルチームには、ここで名前を挙げきれないほど沢山の強力なメンバーが揃っており、これまでYCAMで数々のハイレベルな展示が実現されてきた背景にある、意外なほどに地道な努力が垣間見えた気がしました。
主催の山口市の皆さま、YCAMの皆さま、トークや展示をご覧いただいた皆さま、本当にありがとうございました。またお会いしましょう!
info:
原田裕規トークイベント関連展示
シャドーイング
会期:2025年6月7日(土)– 6月13日(金)
会場:山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ
料金:無料
トークイベント「移ろいゆく人間の生について」
日時:2025年6月8日(日)14時30分~16時30分
会場:山口情報芸術センター[YCAM]スタジオC
料金:無料
定員:100名(申込不要)
新作《マウイ饅頭》を発表(山口情報芸術センター[YCAM])

山口情報芸術センター[YCAM]で2025年6月8日に「シャドーイング」にまつわるトークを行い、6月7日から13日にかけて《シャドーイング(トミゴロウ)》と新作の《マウイ饅頭》の展示を行います。
新作はアーティストの富田七海さんとのコラボレーションワーク。富田さんとYCAMキュレーターの見留さやかさんのお力添えにより、ずっとやりたかった「マウイ饅頭」の復元と現物展示が実現しました。
ぼくにとっては出身地・山口市での初めての展示にもなります。
シャドーイング行為としての饅頭制作とは何か。短い会期ですが、皆さまぜひご覧ください。
info:
原田裕規トークイベント関連展示
シャドーイング
会期:2025年6月7日(土)– 6月13日(金)
会場:山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ
料金:無料
本展では、山口市とハワイ・ホノルル市の友好都市提携に基づき、アーティストの原田裕規氏による、山口からハワイや対馬など各地に渡った人々を題材にした映像作品「シャドーイング」と、海を越えて独自に発展した「マウイ饅頭」を再現する新作を展示します。
作品について
《シャドーイング(トミゴロウ)》では、ハワイの日系アメリカ人をモデルに原田が制作した「デジタルヒューマン」が、山口から対馬に移り住んだ漁民にまつわるエピソードを語っています。その表情はフェイストラッキング技術によって作者の原田と連動しているため、彼らの像は原田のアバター(化身)といえるでしょう。
映像には日英字幕が付されています。英語字幕の多くはハワイ・ピジン英語と呼ばれる混成語です。本作におけるピジン英語は19世紀以降にハワイに渡った人々が発展させたもので、英語、日本語、中国語、ハワイ語など、さまざまな言語が混合して成立しています。その一方の日本語字幕には、山口の方言が登場します。
さらに、映像には2種類の「声」があてられています。一方はハワイの日系アメリカ人、もう一方が原田自身の声です。物語を朗読する日系アメリカ人の声を原田が復唱(シャドーイング)し、その原田の顔の動きをデジタルヒューマンが追跡(シャドーイング)するという、二重の「シャドーイング」が行われているのです。
さらに本展では、原田が新たに制作した「マウイ饅頭」の展示が行われます。
ハワイ・マウイ島では「クリスピー饅頭」と呼ばれるローカルフードが親しまれていました。日本では蒸して調理されることが一般的な饅頭ですが、マウイではオーブンで焼かれることにより、サクサクした食感のクリスピー饅頭が生まれたのです。さらに餡の風味も、小豆味や芋味に加えて、ココナッツ味、リンゴ味、ピーナッツバター味など独自の広がりを見せています。
しかし、そんな饅頭を提供していたマウイの老舗店が惜しまれながらも2024年に閉店してしまいました。それを受けて原田は、食の相互作用をテーマに制作するアーティスト・富田七海に饅頭の再現を依頼。残された資料や原田の記憶を頼りに、その味や食感を富田が「シャドーイング」することにより、一度は消滅しかけた「マウイ饅頭」が作品として復活することになりました。
東京工芸大学・小髙美穂ゼミでゲストレクチャー

東京工芸大学 芸術学部 写真学科の小髙美穂ゼミでゲストレクチャーをしました。
小髙先生や学生たちとの5時間にわたるセッションを行い、とても刺激的な時間になりました。
info:
小髙美穂ゼミにおけるゲストレクチャー(特別講師:原田裕規)
東京工芸大学 中野キャンパス
2025年5月27日(火)13時20分 – 18時10分
トークイベント+関連展示(山口情報芸術センター[YCAM])

山口情報芸術センター[YCAM]で「シャドーイング」にまつわるトークイベント+関連展示を開催します。
出身地・山口市内での作品展示はこれが初めて。ぜひ皆さまご来場ください。
info:
文化活動を通じ見たハワイ・ホノルル
トークイベント「移ろいゆく人間の生について」
日時:2025年6月8日(日)14時30分~16時30分
会場:山口情報芸術センター[YCAM]スタジオC
料金:無料
定員:100名(申込不要)
関連展示「シャドーイング」
会期:2025年6月7日(土)~6月13日(金)
会場:山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ
料金:無料
日本からの官約移民が始まった明治18年(1885年)から明治27年(1894年)までの間に、山口県からは約1万人の方がハワイに移住されました。
山口や広島からハワイへ渡った人々について調査し、日系アメリカ人の混成文化を題材にした映像作品「シャドーイング」を発表してきたアーティストの原田裕規氏によるトークイベント+関連展示を開催します。
トークではホノルルをはじめとしたハワイと山口とのつながり等についてお話しいただき、展示では山口から海を渡った人物「トミゴロウ」が半生を語る作品《シャドーイング(トミゴロウ)》や、初めて公開される新作の《マウイ饅頭》をご覧いただきます。
主催|山口市
問い合わせ先|山口市交流創造部国際交流課
〒753-8650 山口市亀山町2番1号
083-934-2725
https://www.city.yamaguchi.lg.jp/soshiki/147/176478.html
原田裕規『シャドーイング:影を追う旅』(this and that)


開催から2年の時を経て、2023年に日本ハワイ移民資料館で開催された個展「やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」の記録集がthis and thatより刊行されます。
展覧会の記録に加えて、映像作品「シャドーイング」の和英台本(ピジン英語含む)と図版、紀行文、批評、エッセイ、インタビューなどを収録しています。
2023年6月に展覧会を開催してから2年弱、その間に同館への作品収蔵・常設化などを経ながら、ようやく「ごいす展」とは何だったのかを振り返ることができました。展覧会を見た方もそうでない方も、ぜひお手にとってご覧ください。





info:
原田裕規『シャドーイング:影を追う旅』
this and that
2025年5月12日刊行
B5変型判、128ページ、3200円(+税)
周防大島、ハワイ、台湾
──かつて海をわたった人々とデジタルヒューマンが交差するとき、時空を超える旅がはじまる
山口県周防大島町の日本ハワイ移民資料館で開催された「原田裕規 個展 やっぱり世の中で一ばんえらいのが人間のようでごいす」(2023年)の展示記録および、映像作品「シャドーイング」シリーズ(2022年~)台本、著者と企画者および寄稿者によるテキストで構成するモノグラフ。
アーティスト・原田裕規による「シャドーイング」シリーズは、⽇系アメリカ⼈が読み上げる台本を原⽥が「シャドーイング(復唱)」して追いかけ、移⺠たちの⾜跡を⺠俗学者・宮本常⼀の視点を交えながら、現代を⽣きるアーティストが新たな物語として描き出す映像作品です。
その台本5篇をピジン英語を含む日英表記で掲載。著者が参照し共鳴したテキストとして、宮本常一のエッセイ「海ゆかば」を再録します。
芸術作品への葛藤と批評、歴史と海をめぐるエッセイは、ひとつの展覧会を起点に過去と未来を往還しながら、わたしたちを海上の旅へと誘います。
目次
作品図版
2 《シャドーイング(ダン)》
4 《シャドーイング(マイコ)》
6 《シャドーイング(スズ)》
8 《シャドーイング(トミゴロウ)》
10 展示風景
19 シャドーイング:影を追う旅 原田裕規
台本
40 《シャドーイング(ダン)》
44 《シャドーイング(マイコ)》
50 《シャドーイング(スズ)》
54 《シャドーイング(トミゴロウ)》
59 帰る場所を探す旅──原田裕規個展、伴走者の記録 塚本麻莉
79 瀬戸内のハワイから 木元眞琴(日本ハワイ移民資料館館長)インタビュー
85 記憶の継承のためのバーチャルな器──原田裕規《シャドーイング》の航跡を辿って 高嶋慈
95 海をつうじて生きるまじわる物語 栖来ひかり
103 海ゆかば 宮本常一
資料
106 展覧会データ、「シャドーイング」シリーズ一覧
台本
110 《シャドーイング(ケンジ)》
126 あとがき
著者:原田裕規
寄稿:塚本麻莉、木元眞琴、高嶋慈、栖来ひかり
再録:宮本常一
撮影:松見拓也、原田裕規、増田千恵
装幀:重実生哉
編集:増田千恵(this and that)
印刷:株式会社ユーメディア
製本:新日本紙工株式会社
発光:this and that
初版年月日:2025年5月12日
B5変型判(縦257mm 横178mm 厚さ10mm)、128ページ
定価 3,200円+税
ISBN:978-4-9910062-6-5
出版社ウェブサイト https://tat-pub.stores.jp/
版元ドットコム https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991006265
「LOVEファッション──私を着がえるとき」展(東京オペラシティ アートギャラリー)

東京オペラシティ アートギャラリーで開催される「LOVEファッション──私を着がえるとき」に参加します。
同展は、服を着ることを「人間の普遍的な営みの一つ」と捉える企画。装いには人々の内なる欲望が潜み、憧れや熱狂、葛藤や矛盾を伴って表れることがあるとし、京都服飾文化研究財団(KCI)所蔵の衣装コレクションと現代アート作品が並置されます。
原田は、TERRADA ART AWARD 2023でも展示した映像作品「シャドーイング」シリーズより、本展のために制作した新作2点と旧作2点を織り交ぜた、新旧作品4点組による新たなインスタレーションを展開します。

本展は京都国立近代美術館と熊本市現代美術館から巡回したものですが、京都、熊本とも異なる作品点数・構成による新たなインスタレーションとなっています。
みなさまぜひご高覧ください。
info:
LOVEファッション──私を着がえるとき
会期:2025年4月16日(水)– 6月22日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー[ギャラリー1, 2]
開館時間:11:00 ─ 19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日、5月7日(水)(ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館)
入場料:一般1,600(1,200)円/大・高生 1,000(800)円、中学生以下無料
公式ウェブサイト
東京オペラシティ アートギャラリーウェブサイト
出展アーティスト
ファッション
Alexander McQueen (アレキサンダー・マックイーン)、Balenciaga (クリストバル・バレンシアガ、デムナ・ヴァザリア)、Bottega Veneta (ダニエル・リー)、Céline (フィービー・ファイロ)、Chanel (カール・ラガーフェルド)、Christian Dior (クリスチャン・ディオール、ジョン・ガリアーノ)、Comme des Garçons (川久保玲)、Comme des Garçons Homme Plus (川久保玲)、Gaultier Paris by sacai (ジャン=ポール・ゴルチエ、阿部千登勢)、Givenchy (アレクサンダー・マックイーン)、Helmut Lang (ヘルムート・ラング)、House of Worth (ジャン=フィリップ・ウォルト)、J. C. de Castelbajac (ジャン=シャルル・ド・カステルバジャック)、Jil Sander (ラフ・シモンズ)、Junya Watanabe (渡辺淳弥)、Kimhēkim (キミンテ・キムヘキム)、Loewe (ジョナサン・アンダーソン)、Mame Kurogouchi (黒河内真衣子)、Maison Margiela (ジョン・ガリアーノ)、Nensi Dojaka (ネンシ・ドジョカ)、Noir Kei Ninomiya (二宮啓)、Noritaka Tatehana (舘鼻則孝)、Pierre Balmain (ピエール・バルマン)、Prada (ミウッチャ・プラダ)、Ryunosukeokazaki (岡﨑龍之祐)、Somarta (廣川玉枝)、Stella McCartney (ステラ・マッカートニー)、Thierry Mugler (ティエリー・ミュグレー)、Tomo Koizumi (小泉智貴)、Viktor&Rolf (ヴィクター・ホスティン、ロルフ・スノラン)、Yohji Yamamoto (山本耀司)、Yoshio Kubo (久保嘉男) ほか
アート
AKI INOMATA、ヴォルフガング・ティルマンス、小谷元彦、笠原恵実子、澤田知子、シルヴィ・フルーリー、原田裕規、松川朋奈、横山奈美
巡回:京都国立近代美術館 2024年9月13日(金)– 11月24日(日)東京オペラシティアートギャラリー 2025年4月16日(水)– 6月22日(日)
熊本市現代美術館 2024年12月21日(土)– 2025年3月2日(日)
「スピードの物語」(瑞雲庵)

京都市北区にある瑞雲庵で開催されるグループ展「スピードの物語」に参加します。原田は《One Million Seeings》(2019年)を展示する予定です。
キュレーションは美術史家/キュレーターのカジェタノ・リモルテさん。皆さまぜひご覧ください。
info:
スピードの物語
参加作家:荒木悠、シネマ58、原田裕規、川田喜久治、カワニシ ユウキ、小津安二郎、ユ ソラ、高山明、瀧健太郎、トモトシ、津田道子、八島良子
会期:2025年4月18日(金)– 5月18日(日)
会場:瑞雲庵(京都市北区上賀茂南大路町61-1)
開廊日時:金・土・日・月、12:00–18:00
休館:火・水・木
観覧料:無料
キュレーション:カジェタノ・リモルテ
展覧会ウェブサイト
『アートコレクターズ』2025年5月号(特集:反骨の芸術)で作品紹介

発売中の『アートコレクターズ』2025年5月号に作品が掲載されています。
特集の「反骨の芸術」では「美術を拡張する」セクションに、巻末の宮津大輔さんの連載では合計1万字超えの原田論の前編が掲載されています。皆さまぜひご一読ください。
info:
『アートコレクターズ』2025年5月号(特集:反骨の芸術 しなやかに生き抜く力)
生活の友社、2025年4月24日
特集:反骨の芸術、39頁
宮津大輔「File93 原田裕規(前編)」、120頁
https://www.tomosha.com/book/b662457.html
雑誌『写真』vol.7で作品紹介

雑誌『写真』vol.7に掲載された小髙美穂さんの論考「新たなエコロジーの風景」で作品《ホーム・ポート》をご紹介いただきました。18世紀の「パノラマ的視覚」から現代の視覚表現までを架橋するスリリングな議論の中で、作品をご紹介いただけて有り難いです。ぜひご一読ください!
info:
小髙美穂「新たなエコロジーの風景」『写真』vol.7
ふげん社、2025年4月20日
118-130頁
https://www.shashin.tokyo/post/250420
春とヒコーキのグピ☆グパ☆グポ #149

ポッドキャスト番組「春とヒコーキのグピ☆グパ☆グポ」の#149で、お笑い芸人のぐんぴぃさんがANOMALYの原田展の感想を話されています。《One Million Seeings》を30〜40分も眺めてしまったエピソードや、サムライレストランとの比較などについて。ぜひお聞きください。
info:
「春とヒコーキのグピ☆グパ☆グポ」#149 SAMURAI
配信日:2025年3月18日(火)
https://radio.gera.fan/knuW
長野市民新聞に記事掲載(2025年3月27日号)
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長野県立美術館で開催されたイベント「東山魁夷をめぐる」のレポート記事が長野市民新聞の2025年3月27日号(3面)に掲載されました。
info:
長野市民新聞
2025年3月27日号、3面
公開制作vol.4 クロージング「東山魁夷をめぐる」

長野県立美術館で開催中の「公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ」、いよいよ今週末までの会期になりました。最終日には「東山魁夷をめぐる」と題して、東山の言葉、作品、墓所をめぐるクロージングイベントを実施します。
長野県立美術館のすぐ近くには、谷口吉生が設計した東山魁夷の墓所があり、またその場所から見える風景をもとに描かれた東山の絶筆《夕星》が、谷口吉生設計の東山魁夷館に収蔵されるなど、美術館と墓所が入れ籠のような関係性になっています。
また《夕星》について、墓所から見える風景(その中には長野県立美術館も見える)が描かれたとされるが、東山自身はその光景を「夢の中で見た風景」とも記しており、まさに本展タイトルの「ドリームスケープ」とも呼応する内容に。
現実の風景と作品をめぐってきた本展のクロージングとして、東山魁夷の言葉、作品、風景をめぐり、墓参をすることで締めくくりにしたいと思います。長野県美で《残照》のインスタレーションが見られるのは今週末まで。みなさまぜひご来場ください。
info:
公開制作vol.4 原田裕規 ドリームスケープ 関連プログラム
クロージング「東山魁夷をめぐる」
公開制作で展示中の《残照》をはじめ、原田が制作の着想源にしてきた東山魁夷の作品。本イベントでは東山の言葉(エッセイに書かれた文章)に耳を傾け、東山魁夷館で作品を見て、最後に東山魁夷の墓所へ参ります。
*後半60分ほど、美術館を出て屋外を歩きます。歩きやすい服装でご参加ください。(ご参加が難しい方は前半トークのみの参加も可能です。)
*荒天の場合、館内で作家と担当学芸員が公開制作を振り返るクロストークを実施いたします。
--
日時:2025年3月16日(日)14:00–16:00
会場:長野県立美術館 本館1階 オープンギャラリー(集合)
定員:15名程度(先着順、当日受付)
申込:不要
参加費:無料
*諸般の事情により、イベント内容の変更や入場を制限する場合があります。
https://nagano.art.museum/event/artistsstudio_4_250316
プレイバック!美術手帖 Vol.36

発売中の美術手帖(2025年4月号)に連載プレイバックの第36回が掲載されました。
今回取り上げたのは、1957年9月号の「美術界の諸制度を検討するために」特集。小説家・今日出海による東郷青児の訪問記を振り返りながら、極めて私的な物語が持ちうる割り切り難さと、雑然としていることの可能性について考察しています。
info:
美術手帖 2025年4月号(特集「ヒルマ・アフ・クリント」)
プレイバック!美術手帖 Vol.36
230-231ページ
発売日 2025.03.07
造本・体裁 A5判変型
定価 2,000円+税
https://bijutsu.press/books/5561/
原田裕規 × 西川美穂子(東京都現代美術館)トークイベント

ANOMALYにて開催中の原田裕規 個展「夢と影」は来週末3月1日(土)が最終日です。原田の全貌が捉えられるまたとない機会となっております。是非お見逃しのないようご注意ください。
また、最終日の3月1日(土)には同展の関連企画としてトークイベントを開催いたします。原田の活動を長年に渡り追ってきた、東京都現代美術館学芸員の西川美穂子氏をお招きします。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
info:
日時:2025年3月1日(土)18:00−19:30
登壇者:原田裕規、西川美穂子(東京都現代美術館)*敬称略
言語:日本語
入場料:無料
定員:50名
場所:ANOMALY(東京都品川区東品川1-33-10)
ご予約:こちらよりお申し込みください
令和6年度 文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業 成果発表イベント「ENCOUNTERS」

文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業の成果発表イベント「ENCOUNTERS」に参加しています。原田は昨年度「創作支援プログラム」に参加して以来2度目の参加で、今年度は「発表支援プログラム」に採択されました。
成果発表イベントでは、支援を受けて開催された「原田裕規:ホーム・ポート」(広島市現代美術館)の記録映像のほか、同展で展示したプリント作品《ホーム・ポート》(2023/2024)を2点展示しています。ぜひご来場ください。
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文化庁では、次世代のメディア芸術分野を担う若手クリエイターの創作活動を支援する「文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業」を平成23年度より実施しており、今年度も事業の成果発表イベントとして「ENCOUNTERS」を開催いたします。
成果発表イベントの中で、今年度の採択クリエイター40組による創作・発表活動の成果やワークインプログレスを紹介する「成果プレゼンテーション展」を実施します。また、本事業において過年度に採択されたクリエイターの招待展示・映像上映も同会場にて行う他、クリエイターによるトークやワークショップ、セミナー等の関連イベントも開催します。
成果発表イベントを通じ、様々なクリエイターの表現の背景にあるコンセプトメイキングや表現技法、制作プロセス等を紹介することで、次世代のクリエイターが想像力に触れ、今後の創作活動のヒントにつながる機会を創出します。
info:
令和6年度 文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業
成果発表イベント「ENCOUNTERS」
会期:2025年2月15日(土) – 2月24日(月・祝)
会場:TODA HALL & CONFERENCE TOKYO(東京都中央区京橋一丁目7番1号 TODA BUILDING 4階)
開館時間:11:00 – 18:00(最終入場 17:30)
*2月15日(土)、22日(土)、23日(日)のみ 11:00 – 19:00(最終入場 18:30)
入場料:無料
主催:文化庁
公式ウェブサイト
出展者
[創作支援プログラム]
阿部 和樹, 安西 剛, 池添 俊, 石橋 友也, 大髙 那由子, 木原 共, 榊原 寛/畳部屋, 実験東京(安野 貴博+山根 有紀也), スタジオ石(代表:Mr.麿), 藤堂 高行, 深谷 莉沙, 丸山 翔哉, Media of Langue(代表:村本 剛毅), 森田 崇文, 吉田山, 渡部 恭己
[発表支援プログラム]
岩竹 理恵+片岡 純也, 片桐 正義, 紀平 陸, さんや駄々, 芹澤 碧, 對中 優, 滝戸 ドリタ, 辻 梨絵子, 長島 勇太, 永田 康祐, ヌマタ/沼田 友, 花形 槙, 原田 裕規, 韓 成南, 松井 美緒, 松枝 熙, 水落 大, Mizuki Ishikawa+Shun Momose, 持田 敦子, 諸星 智也, 山口 塁, 油井 俊哉, 吉田 裕紀, 渡辺 真也+宇多村 英恵
[過年度採択クリエイターによる招待展示]
久保 雄太郎, 最後の手段(有坂 亜由夢+おいたま+コハタ レン), 鋤柄 真希子+松村 康平, 早川 翔人, 藤倉 麻子+大村 高広, 和田 淳
イベント
[プレイベント]
トークイベント「メディア芸術クリエイターのメタモルフォーゼ」
(NEWVIEW × 文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業 連携企画)
文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業 成果発表イベント「ENCOUNTERS」では、プレイベントとしてクリエイター向けのトークイベントを開催。次世代のクリエイターが想像力に触れ、今後の創作活動のヒントにつながる機会を創出します。
日時:2025年2月11日(火・祝)17:00 – 19:00(16:45 開場)
会場:Shibuya Sakura Stage SHIBUYA SIDE 4F「404 Not Found」(東京都渋谷区桜丘町 1-4 4F)
参加費:無料
定員:50名
事前申込:https://bit.ly/NEWVIEWxCREATORS
*下記のチャンネルにてライブ配信を予定しています。
https://www.youtube.com/@mediaartscreator
登壇者:
内田 聖良(アーティスト/平成30年度本事業採択クリエイター)
木原 共(メディアアーティスト/ゲーム開発者/令和6年度本事業採択クリエイター)
ゴッドスコーピオン(メディアアーティスト/平成26年度本事業採択クリエイター)
モンノ カヅエ(映像作家/令和5・6年度本事業アドバイザー)
モデレーター:
畠中 実(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] 主任学芸員/平成26・27・28年度、令和3・4年度本事業アドバイザー)
主催:NEWVIEW
共催:文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業
[連携プログラム展示]
「Generative Art Project」
本展会場が位置する TODA BUIDING を拠点に戸田建設が展開するアート事業「ART POWER KYOBASHI」の一環として行われる、都市を行き交う人々のリズムから生まれるジェネラティブ アートをホワイエ空間で展示します。
アーティスト:永松 歩(プログラマー、アーティスト、VJ)
キュレーター:高尾 俊介(アーティスト、ジェネラティブアート振興財団代表理事)
会場:TODA HALL & CONFERENCE TOKYO ホール A ホワイエ
時間:11:00-19:30(日没後は屋外からもご鑑賞頂けます。本展開場時間外は会場内にはお入り頂けません。)
主催:戸田建設株式会社/一般社団法人ジェネラティブアート振興財団
詳細:https://www.apk.todabuilding.com/event/20250215/
[関連イベント]
令和6年度採択クリエイターによるイベントや、クリエイター向けのセミナーやトークイベント等の開催を予定しています。
詳細は、こちらをご覧ください。
お問い合わせ
メディア芸術クリエイター育成支援事業事務局 [CG-ARTS内]
TEL: 03-3535-3501 *受付時間 平日10:00-17:30
Email: creator@cgarts.or.jp
寄稿のお知らせ(『群像』2025年3月号)

雑誌『群像』2025年3月号に「影としての私自身」を寄稿しました。
広島市現代美術館の個展が終わったタイミングで、これまで/これからの活動について「私自身」という軸から語り直しています。
雑誌『群像』への寄稿は今回が初めてのこと。ぜひご一読ください。
info:
群像 2025年3月号
影としての私自身
224-225ページ
発売日 2025.02.07
特別定価 1,500円+税
https://gunzou.kodansha.co.jp/indexes/2271
原田裕規 × 卯城竜太(Chim↑Pom from Smappa!Group)トークイベント

ANOMALYにて開催中の原田裕規 個展「夢と影」の関連企画としてトークイベントを開催いたします。
第一弾は2月15日(土)に、原田と親交のあるアーティスト・コレクティブChim↑Pom from Smappa!Groupのメンバー、卯城竜太氏をお招きします。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
info:
日時:2025年2月15日(土)18:00−19:30
登壇者:原田裕規、卯城竜太(Chim↑Pom from Smappa!Group)*敬称略
言語:日本語
入場料:無料
定員:50名
場所:ANOMALY(東京都品川区東品川1-33-10)
ご予約:こちらよりお申し込みください
記事掲載のお知らせ(The Japan Times)

2025年2月9日のThe Japan Timesに取材記事が掲載されました。
ぜひご一読ください。
info:
Yuki Harada's contemplative artworks ponder vanishing
The Japan Times, Feb 9, 2025
By Jennifer Pastore
https://www.japantimes.co.jp/culture/2025/02/09/art/yuki-harada-japanese-artist/
原田裕規 個展「夢と影」(ANOMALY)

──────
2025年2月1日(土)– 3月1日(土)
開廊時間:12:00 – 18:00
休廊日:日 月 祝
オープニングレセプション:2月1日 (土) 17:00 – 19:00
*作家も在廊いたします。
トークイベント:
①2025年2月15日(土)18:00 – 19:30 登壇者:原田裕規、卯城竜太(Chim↑Pom from Smappa!Group)
*日程が変更になりましたのでご注意ください。
*ご予約はArtStickerよりお願いいたします。
②2025年3月1日(土)18:00 – 19:30 登壇者:原田裕規、西川美穂子(東京都現代美術館)
──────
ANOMALYでは2月1日(土)から3月1日(土)まで、当ギャラリー初展示となる原田裕規の個展「夢と影」を開催いたします。
原田裕規(1989年生まれ)は、とるにたらない視覚文化をモチーフに、テクノロジーやパフォーマンスを用いて、社会や個人の本性(ほんせい)に迫る作品を発表してきました。
2023年には、TERRADA ART AWARD 2023で1,000組以上のアーティストからファイナリストに選出され、審査員賞(神谷幸江賞)を受賞。2024年には日本ハワイ移民資料館に初の現代美術コレクションとして《シャドーイング》が収蔵・常設化されるなど、いま最も注目される若手作家の一人です。
現在、広島市現代美術館にて原田の美術館では初となる⼤規模個展「原⽥裕規:ホーム・ポート」が開催中であり、本展はそれに合わせて開催されることとなりました。

原田は、武蔵野美術大学在学中の2012年に「ラッセン展」や「心霊写真展」の企画でデビューし、翌年に23歳にして編著書『ラッセンとは何だったのか?』(フィルムアート社)が刊行されるなど、人々を巻き込む議論喚起型のプロジェクトからその活動を開始しました。
2019年以降は断続的にハワイに滞在し、同地で独自に発展した「ピジン英語」に代表されるトランスナショナルな文化的モチーフに着目。2022年には日系アメリカ人の混成文化をテーマにした《シャドーイング》を発表し、2023年に日本ハワイ移民資料館で同館初の現代美術展として個展を開催しました。


それと並行して、2021年にはデジタルランドスケープ作品の制作をスタート。金沢21世紀美術館で開かれた個展では、長さが33時間以上あるCGアニメーション作品の《Waiting for》を発表して話題を集めました。
同作で原田は、33時間ノンストップで地球上に現存する動物の名前を読み上げるパフォーマンスを実施。またこの作品に先行して、24時間にわたり捨てられた写真を見続ける作品《One Million Seeings》を制作するなど、長尺の映像作品を次々と発表しました。


本展で展示される《ホーム・ポート》は、《Waiting for》の続編に位置付けられる「ドリームスケープ」シリーズの作品です。
2019年以降、原田はハワイ・マウイ島のラハイナを拠点にリサーチを行うようになりました。かつてハワイ王国の首都だったラハイナは、原田が研究するラッセンの故郷であり、日系アメリカ人も多く暮らす町でした。しかし、気候変動を遠因とする山火事によって2023年8月に町は壊滅。100名以上の死者を出す大惨事が起きました。
この出来事の3ヶ月後に発表された《ホーム・ポート》は、原田の夢想するラハイナの遠い過去と未来が描かれたデジタルランドスケープ作品です。
100年単位の人類の歩みは大きな打撃を受けましたが、100万年単位で土地に視線を向ければ、ラハイナはこれまでも/これからも「あの形」を保ち続けるはず。そうした想像力をもとに、地球規模の厄災を作品に昇華したのが《ホーム・ポート》です。
本展ではこの作品が、ギャラリーのメイン空間を用いて、デジタルとフィジカルの2バージョンで大きく展開されます。


写真、映像、CG、パフォーマンス、キュレーションなど、多岐にわたる原田の表現活動。しかしそのコアには一貫して「観客の参加を促す」という側面がありました。
最初期の議論を誘発する活動はもとより、24時間にわたり写真を見続ける《One Million Seeings》、33時間にわたり動物の名前を呼び続ける《Waiting for》など、いずれの作品にも、観客がいかにして作品に参加するのか/できるのかという問題意識が含まれています。
こうした特徴は「演劇性」と言い換えられるかもしれません。それを裏付けるように、原田の《Waiting for》という作品タイトルは、サミュエル・ベケットの演劇作品『ゴドーを待ちながら』(Waiting for Godot)から引用されたものでもありました。

原田作品の演劇性を象徴的に表す最新作が《光庭》です。広島以外では本展で初公開されます。
海辺の部屋にぽつんと置かれた一脚の椅子。その主は描かれておらず、これからその人物が現れるのか、すでに立ち去ったあとなのかはわかりません。本作に描かれた情景は、『ゴドーを待ちながら』と並ぶベケットの代表作『エンドゲーム』(Endgame)の世界観に類似していることがすでに指摘されています(註1)。
《光庭》を見るとき、鑑賞者の視線は中央の椅子へと自然に誘導されます。そのとき、空想上の眼前には「夢のような光景」が広がることになるでしょう。こうした仕掛けは、原田が平面作品でも「観客の参加」を促していることを示します。

またこの作品では、エドワード・ホッパーを参照して描かれたという、一定のリズムを刻む長い影も印象に残ります。夢のような世界に差し込む長い影。それは、本展を構成するふたつのシリーズ──「ドリームスケープ(=夢)」と「シャドーイング(=影)」──の存在を示唆しているのかもしれません。
このように、本展では複数のシリーズを通覧することで、原田裕規の全貌が捉えられるまたとない機会となります。原田のANOMALYでの初個展をお見逃しなきよう、皆さまのご来廊を心よりお待ちしております。
会期中の2月15日(土)には、原田と親交のあるアーティスト・コレクティブChim↑Pom from Smappa!Groupのメンバー・卯城竜太氏を、会期最終日の3月1日(土)には、東京都現代美術館学芸員の西川美穂子氏をお迎えしてトークイベントを開催いたします。詳細は、ArtStickerおよび弊廊のホームページやSNSをご覧ください。

さらに会場では、2025年1月に刊行された初作品集『原田裕規:ホーム・ポート』(フィルムアート社)を販売いたします。本展出品作、広島市現代美術館の会場風景、インタビュー、論考などが収録された充実の一冊です。
それに加えて、日本ハワイ移民資料館での個展および《シャドーイング》にまつわるモノグラフ『シャドーイング:影を追う旅』(this and that)が本展会場で先行販売されます。同書には多数のエッセイのほか、「シャドーイング」の台本なども収録予定です。
本展出品作も数多く収録された2冊を、ご来廊の際には是非お手に取ってご覧ください。
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註1:小髙美穂「来るべき風景の夢を見る」『原田裕規:ホーム・ポート』(監修:広島市現代美術館)フィルムアート社、2025年
────
info:
原田裕規 個展「夢と影」
会期:2025年2月1日(土)– 3月1日(土)
会場:ANOMALY
開廊時間:12:00 – 18:00 *休廊日:日 月 祝
オープニングレセプション:2月1日(土)17:00 – 19:00 *作家も在廊いたします。
トークイベント:2月15日(土)18:00 – 19:30
登壇者:原田裕規、卯城竜太(Chim↑Pom from Smappa!Group)
トークイベント:3月1日(土)18:00 – 19:30
登壇者:原田裕規、西川美穂子(東京都現代美術館)
主催:ANOMALY
協力:広島市現代美術館、KEN NAKAHASHI
支援:令和6年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業
機材協力:デルタ電子株式会社
「原田裕規:ホーム・ポート」(広島市現代美術館)記録動画公開のお知らせ

「原田裕規:ホーム・ポート」(広島市現代美術館)の記録映像が公開されました。
撮影・編集は、原田作品ではおなじみの渡辺真太郎さんと藤田恵実さんです。ぜひご覧ください。
info:
原田裕規:ホーム・ポート|Installation view of "Yuki Harada: Home Port"(YouTube)
https://youtu.be/mNXD8alS1n0?si=4c4RuCYKPHAGLi4z
公開日:2025年1月30日
撮影・編集:渡辺真太郎、藤田恵実
記事掲載のお知らせ(中国新聞)

2025年1月21日の中国新聞13面(文化欄)に取材記事が掲載されました。
ぜひご一読ください。
info:
広島ゆかりの原田裕規さん 初の大規模展
中国新聞、2025年1月21日(火)号 13面(文化欄)
記者:木原由維
作品集『原田裕規:ホーム・ポート』(フィルムアート社)

広島市現代美術館で開催中の個展「原田裕規:ホーム・ポート」の公式図録にして初の作品集がフィルムアート社から刊行されます。展示風景、作品図版、インタビュー、論考、資料などを収録。 美術館では1月12日より先行発売、その後全国書店でも販売されます。
今までテキストブックは世に出せていましたが、本格的なビジュアルブックはこの本が初めて。この出版不況の中、ビジュアルブックを作ることの大変さは分かっているつもりなので、実現に奔走していただいた関係者の皆さまには感謝してもしきれません。
デザインは尊敬するデザイナーの中野豪雄さんに、編集はラッセン本でもお世話になったフィルムアート社の臼田桃子さんにお世話になりました。
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広島市現代美術館特別展「原田裕規:ホーム・ポート」公式カタログ
写真、映像、CGとさまざまなメディアを用いながら、自らの身体性を作品に投じ、人々のアイデンティティと結びついたイメージを描き出す原田裕規、初の大規模個展の図録にして初の作品集。
◎広島市現代美術館での展示のために制作された新作を含む豊富な作品図版を掲載
◎原田裕規インタビューも収録
目次
◾️展示風景
◾️作品図版
写真の山
写真の山
One Million Seeings
ドリームスケープ
湖に見せる絵
Waiting for
光庭
残照
ホーム・ポート
シャドーイング
シャドーイング
◾️インタビュー/論考
「母港[ホーム・ポート]」へ。そして、ふたたび……
──原田裕規インタビュー
聞き手・構成:杉原環樹(ライター、編集者)
〈私〉の作法──原田裕規の作品をめぐって
富井玲子(美術史家)
来るべき風景の夢を見る
小髙美穂(キュレーター、写真研究者)
見るものと見ることを見せる、原田裕規の主題/材質/技法
松岡剛(広島市現代美術館学芸員)
◾️資料
作家略歴
主要参考文献
作品リスト
[デザイン]中野豪雄
info:
原田裕規:ホーム・ポート
監修:広島市現代美術館
発売日:2025年1月16日 *1月12日から広島市現代美術館にて先行発売
本体価格:3,800円+税
判型:B5判変型・並製
頁数:128頁
ISBN:978-4-8459-2420-2
Cコード:0070
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トークイベントのお知らせ(現在地のまなざし)

2025年1月18日に大田黒衣美さんと中村史子さんとのトークイベントに参加します。
《写真の山》を公立美術館で次に展示できるのは、もしかするとしばらく先になるかも?トークも展示もぜひお見逃しなく!
info:
出品作家とゲストによるトーク(大田黒衣美×原田裕規×中村史子)
2025年1月18日(土)15:00 – 17:00
講師:大田黒衣美(出品作家)、原田裕規(出品作家)、中村史子(大阪中之島美術館主任学芸員)
会場:東京都写真美術館1階ホール
定員:190 名(整理番号順入場/自由席)
参加費:無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布します。
現在地のまなざし 日本の新進作家 vol.21
会期:2024年10月17日(木)– 2025年1月19日(日)
会場:東京都写真美術館
出品作家:大田黒衣美、かんのさゆり、千賀健史、金川晋吾、原田裕規
開館時間:10:00 – 18:00(木・金曜日は20:00まで、図書室を除く)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(12/29-1/1)※1月2日(木)と3日(金)は10:00-18:00開館
料金:一般 700(560)円/学生 560(440)円/中高生・65歳以上 350(280)円
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館、東京新聞
協賛:東京都写真美術館支援会員
公式ウェブサイト
フライヤー(PDF)
《シャドーイング(3つの自画像)》特別上映+作家トーク

2025年1月4日に《シャドーイング(3つの自画像)》特別上映+作家トークを広島市現代美術館で行います。
TERRADA ART AWARD 2023ファイナリスト展で発表した同作を1日限りでリバイバル上映します。1年前の今ごろはこの作品の制作に悲鳴をあげていたので、本当に時が早いなぁと……
年始に広島付近にいる皆さま、このタイミングでぜひ広島現美へ。
info:
《シャドーイング(3つの自画像)》特別上映+作家トーク
TERRADA ART AWARD 2023ファイナリスト展にて発表され、神谷幸江賞を受賞した《シャドーイング(3つの自画像)》の特別上映を行い、あわせてアーティスト・原田裕規が作品、展覧会について語ります。
会場:広島市現代美術館 地下1階ミュージアムスタジオ
日時:2025年1月4日(土)14:00–15:30
定員:50名程度 ※先着順
料金:無料 ※要展覧会チケット(半券可)、事前申込不要
https://www.hiroshima-moca.jp/event/11044
特別展「原田裕規:ホーム・ポート」
会期:2024年11月30日(土)– 2025年2月9日(日)
会場:広島市現代美術館
開館時間:10:00–17:00
休館日:月曜日(ただし1/13は開館)、年末年始(12/27–2025/1/1)、1/14(火)
観覧料:一般1,100円(850円)、大学生800円(600円)、高校生・65歳以上550円(400円)、中学生以下無料
※( )内は前売り及び30名以上の団体料金
公式ウェブサイト
展覧会チラシ