
このたび、新たに設立された助成事業「CAF・レジデンシー・プログラム2025」の第1回 助成対象者に選出されました。
今回のプログラムでは、多数の応募者からの書類選考を経て、選考委員による対面のインタビュー形式での最終審査の結果、原田裕規と中島伽耶子の2名のアーティストが選出されました。
選考委員は、野村しのぶ氏(東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター)、吉竹美香氏(インディペンデント・キュレーター)、斯波雅子氏(ブルックリン実験アート財団(BEAF)共同創設者・エグゼクティブ・ディレクター)の3名。
助成内容として、NY・ブルックリン実験アート財団(BEAF)での3ヶ月間のレジデンス滞在が予定されています。
長年、海外に出ることを目指していました。貴重な機会をいただくことができて、本当に嬉しく思っています。採択者コメントと選考委員評は以下をご覧ください。
採択者コメント
原田裕規
長い間、海外に出たくても出るチャンスを逃し続けていました。
海外挑戦の適齢期といえる30代前半にはコロナ禍が直撃。ようやくコロナが明けた頃には30代半ばに差し掛かり、海外渡航プログラムの年齢制限がチラつき始めました。このまま40代を迎えてしまうと、本格的に海外に出るチャンスはなくなってしまうのではないかと不安を覚えていたタイミングで、本助成に選出していただきました。
この大変貴重な機会をくださり、誠にありがとうございます。このチャンスを120%活用し、グローバルに活動できる作家へと成長したいと思います。
中島伽耶子
作家として活動してきましたが、今が分岐点のように感じています。30代半ばという年齢的なこともありますし、能登半島地震で知人の多くが被災した姿を目の当たりにしたことで、自分の中で価値観が変わってしまったというのもあるかもしれません。今までの方法論ではダメだという漠然とした直感と足掻きの中で、今回の助成をいただき本当に嬉しく思います。皆様の力をお借りしながら、貴重なチャンスを楽しみたいです。
CAF・レジデンシー・プログラム2025 選考委員評
東京オペラシティアートギャラリー
シニア・キュレーター
野村しのぶ
助成対象者が2名(組)になったことで幅が生まれ、より自由な選考が可能になった。実力があり実績豊富な作家の応募が多数あり、そのなかでニューヨーク滞在が作家の将来の飛躍につながると思われる作家6名と、最終選考で面談を行った。採択された中島伽耶子は社会における「壁」をテーマに制作・展示を行ってきた実践が、分断が進む世界を実際に経験することでどのように展開されるのか期待を持った。原田裕規は国内の美術館での個展をはじめ近年急速に活躍の場を広げており、本助成によって新たなフェーズへの飛躍が期待できると考えて採択した。それぞれが米国滞在ならではの調査・体験を通して、今後より充実した作家活動につながることを期待している。
インディペンデント・キュレーター
吉竹美香
中島伽耶子の境界をテーマとする完成度の高いインスタレーションは、パフォーマンスを体験しているような緊張感を感じさせる。日本の前衛美術史を取り入れながら、アメリカでも深く問題が続くトランスジェンダーの差別問題を深く貫く共同プロジェクトに感動を浴び、これからの新たなプロジェクトを応援している。原田裕規は長年海外で制作をされ、特にハワイで過ごした体験が貴重なターニング・ポイントであり、より繊細な言語を作り出せたと思う。戦後日本の歴史と海外での人種問題について、根本的で曖昧な人間性を見出し、しかも現代の感性と繋ぐ微妙な視覚センスを持っている。これからのビジョンが楽しみである。
ブルックリン実験アート財団 (BEAF)
共同創設者・エグゼクティブ・ディレクター
斯波雅子
今回は2名のアーティストを迎えることとなり、前回を上回る多様な応募があったことで、このプログラムの方向性を改めて考える貴重な機会となった。選考にあたっては、作家の活動形態やキャリアのバランスを見つつ、「今」NYに来ることの意義がどれほど際立つかを重視した。特に両者に共通するのは、創作と並行して別の活動領域を持ち、それが一見明らかではないかたちで作品に影響を与えている点であり、そうした複層的な視点が、今現在の激動のアメリカという多層的な社会でどう揺さぶられ、変容していくのか、その展開が非常に楽しみである。
info:
CAF・レジデンシー・プログラム2025
助成対象者:原田裕規、中島伽耶子
選考委員:野村しのぶ(東京オペラシティアートギャラリー シニア・キュレーター)、吉竹美香(インディペンデント・キュレーター)、斯波雅子(ブルックリン実験アート財団(BEAF)共同創設者・エグゼクティブ・ディレクター)
現代芸術振興財団ウェブサイト
「CAF・レジデンシー・プログラム2025」の助成対象者に中島伽耶子、原田裕規らが決定(美術手帖)